社員がうつ病(鬱病)に・・・会社がとるべき対策とは?うつ病の社員は、解雇できるか?

1.もしかしてうつ病(鬱病)?

 うつ病(鬱病)とはどういう病気かを一言で表現するのは難しいのですが、症状として「憂鬱な気分が続いている」「何に対しても興味や喜びの気持ちが起きない」「疲れが取れない、疲れやすい」などがみられたら、うつ病かもしれないと考えられます。

 もちろん医師の診断を経ないでうつ病(鬱病)と断定することはできませんが、少しでも社員の異変に気づいたら、適切な対応をとるよう努める必要があります。

2.こころの不調が疑われる社員との接し方

 まず、うつ病(鬱病)あるいは何らかのこころの不調があるとはじめから決めつけないことが大切です。
気になる社員の様子を注意深く観察し、声掛けをするなどして状態を把握しましょう。さらに職場の中でこころの不調につながるようなストレス要因がないかどうか確認し、もしあったときは可能な限り除去、あるいは軽減に努めましょう。

 ストレスの原因が私生活にある場合もあります。立ち入り過ぎるとトラブルになるおそれがありますから、さりげなくプライベートを話題にして、気に掛けているというメッセージを伝えるのが良いでしょう。

3.こころの不調を理由に解雇できるか

 一般的には難しいと考えられます。

 労働基準法第19条で「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間(中略)は、解雇してはならない」の規定があり、業務が原因である場合には解雇できないことになっています。

 業務外、いわゆる私傷病であれば解雇できるという理屈も立ちますが、業務と無関係であることを証明するのは困難です。

 まずは休職させ、復職できるか見極めるというプロセスが必要になります。それでもなお復職が困難となってはじめて解雇の検討ができます。この根拠として、就業規則に休職や解雇について明確に規定されていることが重要です。心配な方はチェックしてみてください。

4.セルフケアで予防しよう

 会社としては、なんといっても休職者を出す前に予防するに尽きます。一度休職者を出してしまえば、解雇できずその職員の生活保障や職場の戦力ダウンで、大きなダメージを受けてしまうからです。

 そのためには、社員が日常的にセルフケア(自分自身で身体やこころのケアを行うこと)を心掛けるよう促したいものです。

 セルフケアの手法の一例として、オランダで普及している「ポジティヴヘルス」を紹介します。健康を「身体の状態」「こころの状態」「いきがい」「暮らしの質」「社会とのつながり」「日常機能」という6つの視点でとらえるのが特徴です。

不調に陥ると、ついそのことばかりに目が向きがちですが、健康を幅広くとらえ、自分自身を俯瞰して視ることで、「なりたい自分」に意識が向き、前向きな行動に向かうことができます。

 ポジティヴヘルスについては、また別の機会にもお伝えしたいと思います。

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noteにて、「ポジティヴヘルスとの出会い」を掲載中です。また、「組織のメンタルヘルスケアの大切さ」では自身の体験をもとに、メンタルヘルスの「大切さ」について紹介しております。

メンタルヘルス不調が世の中からなくなることを願って・・・

執筆者

社労士事務所 ポジティヴ・ワークス
特定社会保険労務士 出町勇人

メンタルヘルス不調は、仕事中のストレスが原因で起こることが多い問題です。企業は職場環境改善に取り組んで、メンタルヘルス不調を予防する必要があります。

ポジティヴヘルスジャパン理事に就任いたしました。

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